【4月29日 AFP】米ケーブルテレビ大手コムキャスト(Comcast)は28日、人気ファミリーアニメ『カンフー・パンダ(Kung Fu Panda)』やアカデミー賞(Academy Awards)長編アニメ賞受賞作品の『シュレック(Shrek)』などを手掛けた米アニメ制作大手ドリームワークス・アニメーション(DreamWorks Animation)を38億ドル(約4100億円)で買収すると発表した。

 すでに双方の取締役会で承認されており、規制当局の認可が下りれば年内に買収を完了する。その後、現ドリームワークス・アニメーション最高経営責任者(CEO)のジェフリー・カッツェンバーグ(Jeffrey Katzenberg)氏はドリームワークス・ニュー・メディア(DreamWorks New Media)の会長に退く。

 ドリームワークス・アニメーションは当初、スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督、音楽プロデューサーで富豪のデービッド・ゲフィン(David Geffen)氏、ディズニー(Disney)幹部だったカッツェンバーグ氏が1990年代に立ち上げた「ドリームワークス」グループの一部だったが、2004年に独立部門として設立された。

 買収発表にあたってコムキャスト傘下にあるNBCユニバーサル(NBCUniversal)のスティーブ・バーク(Steve Burke)最高経営責任者(CEO)は、「これからはドリームワークスが、わが社の映画やテレビ、テーマパーク、コンシューマー・プロダクツ事業の成長を後押ししてくれるだろう」と話している。

 買収契約により、ドリームワークスはユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)を傘下に持つユニバーサル・フィルムド・エンターテインメント・グループ(Universal Filmed Entertainment Group)に属することになる。

 コムキャストによるドリームワークス買収は、米動画配信サービス大手のネットフリックス(Netflix)やアマゾン(Amazon)など独自のコンテンツ開発に力を入れたネット動画配信サービスの台頭で競争激化が進む業界での基盤固めを狙った動きを象徴するものだ。

 さらに、NBCユニバーサルにおけるファミリー・子ども向けの映画・テレビ番組やビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスの強化も目指していることから、ピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar)を所有するウォルト・ディズニー・スタジオ(Walt Disney Studios)との競合が予想される。(c)AFP/Rob Lever