【4月28日 AFP】フランスの富豪フランソワ・ピノー(Francois Pinault)氏(79)が私蔵する世界最大級の現代美術コレクションを展示する美術館が、仏パリ(Paris)のルーブル美術館(Louvre Museum)のすぐ近くに新たに登場することになった。パリ市長が27日、明らかにした。

 約14億ドル(約1600億円)相当の現代美術作品が展示される美術館になるのは、ドームがあるパリ商品取引所の建物。アンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)パリ市長はこの計画を「パリ中心部への素晴らしい贈り物」と賞賛した。

 競売大手クリスティーズ(Christie's)のオーナーでもあるピノー氏は、米アーティスト、マーク・ロスコ(Mark Rothko)から英国のダミアン・ハースト(Damien Hirst)の作品まで膨大な作品を収集してきた。

 イダルゴ市長は、新美術館は欧州最大の現代美術品を誇るポンピドー・センター(Pompidou Centre)からも数百メートルの場所だと指摘。かつて穀物取引所だった新美術館は、パリのレアール(Les Halles)地区に「新たな鼓動」(イダルゴ市長)を与える10億ユーロ(約1300億円)規模の都市開発計画の一部でもある。

 19世紀にパリの中央市場があったレアール地区は1970年代に再開発され地下街と交通の拠点が造られたが、市民の人気は芳しくない。ピノー氏とその家族は同商品取引所の建物の50年間のリースを受け、建物の改装を義務付けられる。

 この建物は1802年に元のドームが火災で焼失した後、19世紀の5大陸との交易を描いた見事なフレスコ画で飾られていた。日本の建築家、安藤忠雄(Tadao Ando)氏がこの建物の改装を手掛ける予定。(c)AFP/Fiachra GIBBONS