【4月28日 AFP】イタリア・セリエAのACミラン(AC Milan)の買収に、中国のインターネット通販大手アリババ(阿里巴巴、Alibaba)が近づいていると、27日にイタリアメディアが報じた。

 アリババの創業者ジャック・マー(Jack Ma)氏は先日イタリアを訪問し、アルコール類の見本市「ヴィーニタリー(VinItaly)」でマッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)首相とワインを酌み交わし、食事の席をともにしていた。そしてその場で、レンツィ首相は「イタリアとアリババの未来は密接に絡み合っている」と意味深な発言を残していた。

 中国スーパーリーグ(1部)の強豪、広州恒大(Guangzhou Evergrande)の共同オーナーでもあるマー氏は、290億ドル(約3兆2000億円)ともいわれる個人資産を有しており、買収への金銭的な障害はない。

 一方、ミランの会長にしてメディア王、さらに元イタリア首相でもあるシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)氏は、今年には80歳となる。同氏は脱税で有罪となった2014年初頭を境に、1986年から所有してきたミランの株式売却の可能性を探ってきた。ベルルスコーニ会長が欧州制覇7度の名門につけた値は、10億ユーロ(約1260億円)前後と言われている。

 2015年にはタイの実業家ビー・テチャウボン(Bee Taechaubol)氏を中心とする合弁会社へ、その額を基準にして株式の48パーセントを売却する交渉が行われたが、この話は破談に終わったとみられ、中国企業に買収への道が開けた。

 27日の報道によれば、アリババは4億ユーロ(約500億円)でミランの株式70パーセントを買い取る案を提示しており、ベルルスコーニ氏の所有するフィニンベスト(Fininvest)社も、この案を真剣に受け止めているという。

 ミランの株主総会が28日の午後に予定されており、ベルルスコーニ会長はその場でなんらかの方向性を示すものとみられている。

 ミランはすでに来季のチャンピオンズリーグ(2016-17 UEFA Champions League)出場の可能性が消滅しており、会長が赤字削減の準備を進めているとのうわさがある。クラブは昨シーズン、推定9100万ユーロ(約115億円)の損失を出しており、負債総額は2億5000万ユーロ(約315億円)前後に膨らんでいるとの報道もある。

 ミランの売却には、ほかにIT企業経営者のロバート・リー(Robert Li)氏、エアコン事業で財を成した何享健(He Xiangjian)氏という、マー氏と同じ中国有数の富豪も関わっているのではないかと伊メディアは報じているが、現在のところ、両者の代理はこの件についてノーコメントを貫いている。(c)AFP/Angus MACKINNON