【4月27日 AFP】27年前、英国のサッカースタジアムでリバプール(Liverpool FC)のサポーター96人が死亡した「ヒルズボロの悲劇」に関する死因審問の評決が26日に発表され、陪審は、被害者が不当に殺害されたと結論づけた。サッカー史上最悪の惨事で、原因の一端が警察にあることが、初めて正式に認められた。

 今回の評決により、被害者の遺族が30年近く続けてきた戦いは、ひとまずの決着をみた。英国では各紙がこの結果を1面で報じ、ガーディアン(Guardian)紙は「27年目の正義」と見出しをつけた。

 2年に及んだ審問の末、陪審は、警察の判断が被害者の死の「原因、または一因となった」と結論づけ、「重大な過失」に等しいと断じた。

 1991年に一度は事故との評決を下され、悔しい思いをしてきた遺族だが、この日は評決が発表されると、腰を浮かせて「やった!」と叫んだ。

 そして、法廷の外では多くが涙を流しながら抱き合い、手をつないでリバプールの応援歌「You'll Never Walk Alone」と、合言葉「96人のために正義を!(Justice for the 96!)」を合唱した。

 イングランド(England)の法律では、死因審問は何が被害者の死につながったのかを究明することのみが目的で、その結果により誰かが告発されるということはない。しかし英公訴局(CPS)は、現在行っている捜査が終わり次第、訴えを起こすことも検討するという。捜査は年内には終わるとみられている。

 悲劇は1989年4月15日、FAカップ(FA Cup)準決勝のリバプール対ノッティンガム・フォレスト(Nottingham Forest)戦が行われたスタジアムで起こった。

 試合開始の時点でも、スタジアムへ入場できないサポーターが大量に残っていたため、警備責任者を務めていた警察のデビッド・ダッケンフィールド(David Duckenfield)本部長は、混雑を緩和しようと退場口を開放するよう指示した。

 その結果、すでにすし詰め状態だったゴール裏のテラス席へ2000人のファンがなだれ込み、大惨事が起こった。犠牲者のうち、38人は10歳から19歳の若者だった。(c)AFP/Paul Ellis, Robin Millard