【4月25日 AFP】メキシコ南西部ゲレロ(Guerrero)州イグアラ(Iguala)市で2014 年9月に学生43人が拉致された事件で、独立調査を行っていた米州人権委員会(IACHR)の専門家チームは24 日、メキシコ政府の調査妨害を非難し、連邦軍の事件における役割を疑問視する調査報告書を発表した。

 専門家チームは、コロンビアの弁護士2人、チリの弁護士、グアテマラの元司法長官、スペインの心理学者の5人で構成。犠牲者の親らの要請を受け、政府との合意後、2015年3月にメキシコに到着し、1年にわたり調査を行ってきた。

 報告書で専門家らは、事件が起きた夜の連邦警察と軍の行動への捜査を要求しているほか、605ページにわたる報告書の一部を調査に携わった専門家が直面した当局の「妨害」に充て、今年1月から悪化したと指摘。当局は新たな線で調査を進めることに「ほとんど関心」を示さず、専門家らが収監中の被疑者17人と面会するのは「不可能」だったと述べた。

 また、「調査を疑問視するというやり方で中傷する(メディアの)キャンペーンの被害を被った」という。

 検察当局によると、学生らは今後の抗議行動に利用しようと5台のバスを奪った後、地元警官らの襲撃を受け、学生3人とそばにいた3人がその場で殺害された。

 政府当局の説明によると、警官らはその後、学生43人を麻薬組織「ゲレロス・ウニドス(Guerreros Unidos)」に引き渡した。同組織は学生らを殺害し、遺体をコクラ(Cocula)付近のごみ埋め立て処分場で焼却した。近くの川から人骨が発見され、不明学生のうち1人の身元が特定されている。(c)AFP/Laurent THOMET