【4月19日 AFP】恐竜は、最終的な絶滅に至る数千万年も前から生存の危機にすでに陥っていたとする研究結果が18日、発表された。恐竜の絶滅は、小惑星の衝突で発生した砂塵が生息環境に降り注いだことが原因と広く考えられている。

 地球上に存在した最後の時期に恐竜が健全な状態にあったかどうかをめぐっては、科学者らの間で、最盛期にあったとする説と、個体数の減少傾向が強かったとする説とで意見が分かれている。このほど、米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された研究成果は、この議論に大きな影響を与えるものとなりそうだ。

 発表された今回の研究では、世界中の化石記録が詳細に調べられ、統計分析が実施された。その結果、太陽系初期の残骸である小惑星が、現在のメキシコにあたる地域に衝突するまでの少なくとも4000万年の間、さまざまな種の恐竜が、新個体の出現よりも速いペースの個体数の減少に見舞われていたことが示された。

 研究を主導した英レディング大学(University of Reading)の古生物学者、マナブ・サカモト(Manabu Sakamoto)氏は「この結果は予想外だった」と話す。「小惑星の衝突が、恐竜の最終的な絶滅を引き起こした最有力候補であることに変わりはないが、その一方で、恐竜が進化論的な意味ではすでに最盛期を過ぎていたことが明白となった」

 その一例として、存在が知られている中で最大の陸生動物である首の長い草食性の竜脚類恐竜の個体数が、最速のペースで減少していたことを研究チームは発見している。一方で、大型肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex、T・レックス)を含む分類群の獣脚類は、絶滅がより緩やかなペースで進行したという。

 恐竜が生存の危機に陥ったのは、大陸塊の分裂や持続的な火山活動などが要因となっている可能性が高いと、研究チームは指摘する。

 そして今から6600万年前に現在のメキシコで、「チチュルブ(Chicxulub)衝突」として知られる巨大な小惑星が地球に衝突する事象が発生した。衝突の衝撃で大量の砂塵が巻き上げられ、太陽光を遮断した結果、地球寒冷化と広範囲に及ぶ植物死滅の時期に突入した。草木などの植物が死滅すると、重要な食料源とすみかを奪われた恐竜たちも、同様に姿を消すことになった。