【4月15日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は14日、運動能力向上薬として世界反ドーピング機関(WADA)の禁止表に記載されている「メルドニウム(Meldonium)」の使用は、ドーピングにはあたらないとする見解を示した。

 テレビ番組に出演したプーチン大統領は、メルドニウムについて「同薬はドーピングと何ら関わりがない」と述べると、「結果には何の影響も与えない。高い負荷がかかったとき、心筋を良い状態に保つだけだ」と続けた。

 女子テニス選手のマリア・シャラポワ(Maria Sharapova)が、1月に行われた全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2016)のドーピング検査で、検体からメルドニウムの陽性反応が出たと発表してから、競泳のユリア・エフィモワ(Yuliya Efimova)らロシアの名だたるスポーツ選手が、同薬を摂取したことによる違反を犯している。

 ロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)スポーツ相は、今月初めの時点で、40人のロシア人選手からメルドニウムが検出されたと発表している。また同相は、メルドニウムの陽性反応を示した選手の90%が、薬が体外に排出されるまでの時間を低く見積もっていたと補足している。

 プーチン大統領は、旧ソ連時代にラトビアで開発されたメルドニウムが、WADAの禁止表に入った背景に、政治的な理由があるという考えは否定したものの、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相らロシアの高官の間には、旧ソ連出身のアスリートを標的にしたルールではないかという見方もある。

 WADAは13日、メルドニウムが1月に禁止表に入ってから、これまで172件の違反が報告されていることを発表し、同薬が体から排出されるまでの時間がはっきりしていないため、処分が取り消される可能性を示していた。(c)AFP