■「笑顔足りない」と批判

 だが、男性票離れの問題は、クリントン氏が11月の本選で共和党候補と一騎打ちするにあたり、致命的ではないとしても深刻な弱みとなると専門家らはみている。相手がたとえ、女性の間で人気が低いトランプ氏だったとしてもだ。

 クリントン氏が女性初の大統領候補に指名される可能性のある予備選挙の段階でトランプ氏は、中絶経験のある女性は罰されるべきだと発言したり、気に入らない女性を軽蔑的な言葉で侮辱したりして、女性に対する態度を選挙運動の中核に置いた。

 男性コメンテーターらは、クリントン氏が笑顔を振りまかずにわめき散らしていると批判し、フェミニストや同氏の支持者らから怒りを買っている。

 キニピアック大学の世論調査によると、クリントン氏とトランプ氏の対決となれば、46%対40%の得票率でクリントン氏が勝つものの、白人男性票だけみれば34%対51%とトランプ氏に劣る見込みだ。一方サンダース氏であれば、全体でもトランプ氏に競り勝ち、さらに男性票だけに絞っても互角とみられている。

 ニューヨーク(New York)のハーレム(Harlem)地区での選挙集会に参加したクリントン氏の熱烈な支持者の男性(23)は、AFPに対し、同氏が女性であるがゆえに一般受けという意味で苦労することは「100%」間違いないと語る。「彼女の苦労はより大きいはずだ。バーニー・サンダースなら、壇上で好きなだけ大声で叫んで指を突き付け、意地悪く嘲笑的な態度だって取れる。だがヒラリー・クリントンは絶対にそんなことはできない。声を荒げようものなら、金切り声を上げていると批判される。ちょっと不公平だと思う」

 ただニューヨーク州アイオナ大学(Iona College)のジーニー・ゼイノ(Jeanne Zaino)教授(政治学)は、クリントン氏が依然首位を走っていることから、白人男性層からの支持を取り付けられない理由は性差別よりも主に政策によるものだと説明。サンダース氏には男性の共感を呼びやすい自由貿易や経済改革の問題で強みがある点を指摘した。(c)AFP/Jennie MATTHEW