■「鳴りやまない着信音」

「若い世代は今でも街頭や公共スペースに出てはいる。ただ一定の時間と場所とに限られており、概して彼らの存在感が薄れているというのは恐らく事実だろう」と、サリー大学(University of Surrey)のポール・ホドキンソン(Paul Hodkinson)教授(社会学)は語る。

 ホドキンソン教授は「社会も当局も、若者が公共の場でたむろすることを容認しなくなっている」のと同時に、昔に比べて親が子の安全をより強く懸念するようになったと指摘している。

 ロンドンの北西に位置するチェシャム(Chesham)に住むスペンサー(Spencer)君(16)は「インターネットがなくなったら、友達ともっとよく会うと思う」と語った。

 ロンドン西部チジック(Chiswick)のネイサン(Nathan)君(15)も「ビデオゲームで遊んでいる方が楽しい。ゲームしながらしゃべったりコーヒーを飲んだりできるしね」と言う。

「友達と会って遊びたい。でも勉強が大変過ぎて無理」と話したのはフィービー(Phoebe)さん(16)。「フェイスブック(Facebook)に学年全体のチャットグループがあって、宿題で困ったらみんなに聞けるからすごく助かっている」

 同市クイーンズパーク(Queen's Park)地区に住むアイビー(Ivy)さん(15)はインターネットより「外で友達と遊ぶ方が好き」だが、ネットがなかったら「パニック」に陥るだろうと認めている。アイビーさんの母親は「メッセージや着信音が途切れることがない」と、バーチャルな世界からひっきりなしに割り込みが入ることにうんざりしている。

 とはいえホドキンソン教授は、ソーシャルネットワークが人気を集めていることは若者が街角から消えた原因ではなく、「むしろ現実世界で集まる機会がなくなっていることの表れ」だとみている。(c)AFP/Alfons LUNA