【5月7日 AFP】スリムなメキシコ人女性が、自分よりもずっと体の大きな、銃を持った男との対決に臨んでいる。女性は男の腕をねじって武器を奪うと、その銃を相手に突きつけ、引き金を絞る。

 看護師のファビオラ・アルテアガ(Fabiola Arteaga)さん(24)は路上で危険な目に遭っているわけではない。メキシコの首都メキシコ市(Mexico City)北郊のエカテペク(Ecatepec)にある武術教室で練習に励んでいるのだ。

 犯罪多発都市として知られる人口160万人の都市、エカテペクでは近年、女性を標的とした殺人事件が急増していることを受け、護身術教室に通う女性や十代の少女の数が増加。アルテアガさんもそうした女性の一人だ。

 生徒たちは、銃やナイフを持った男に背後から襲われた時に、蹴りを入れて鼻を折ったり、チョークホールド(背後から腕で相手の首を絞める行為)から逃れたり、腕をねじって武器を取り上げたりする術を学んでいる。

 同国の非政府組織(NGO)「全国女性殺人市民監視団(National Citizen Observatory of Femicides)」によると、首都を取り囲むような形のメキシコ(Mexico)州全体では、ここ4年間に約600人の女性が殺害されたが、その大半がエカテペクで起きたという。(c)AFP