【4月11日 AFP】移民の大量送還、全米で暴動発生、迫りくる貿易戦争――米紙ボストン・グローブ(Boston Globe)は10日、「ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領」の統治下での米国を想定した架空の第1面を掲載し、トランプ氏が掲げる構想を厳しく批判した。

 架空の第1面は2017年4月9日を想定したもので、「GOP(共和党)はトランプを阻止せよ」と題された社説と共に、オピニオン欄に掲載された。「強制送還開始へ」との見出しがつけられた架空の1面記事は、1100万人超の不法移民を国外追放するトランプ氏の政策により全米で暴動が発生し、夜間外出禁止令が出されたと伝えている。

「株式市場下落、貿易戦争迫る」と題された架空記事では、中国やメキシコとの貿易関係悪化を報道。さらに、米兵がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員の家族を殺害せよとの命令を拒否したと伝える記事や、共和党が多数を占める議会で報道機関の「純然たるくずたち」を対象とした名誉毀損(きそん)法が成立したとする記事も。いずれも、トランプ氏が選挙運動で語ってきた内容を踏まえたものだ。

 またある記事では、トランプ氏がペットの犬のシャー・ペイに、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席の妻の彭麗媛(Peng Liyuan)夫人にちなんだ名前をつけたことから、米中関係が危機的状況に陥った、と伝えている。

 紙面の片隅には編集注記として「これがドナルド・トランプ氏の米国だ。このページの記事は、共和党の指名候補争いで首位を走る同氏がその構想を実行し、言葉どおりに行動すれば起こりうる事態だ」と書かれている。

 ボストン・グローブ紙は社説のなかで共和党指導部に向けて、7月の全国党大会までにトランプ氏が過半数の代議員を確保できなかった場合には、別の候補を選出するべきだと訴えている。

 トランプ氏は、予備選を19日に控えたニューヨーク(New York)州で開いた選挙集会で、同紙の架空記事を「ばかげている」と一蹴。「価値のない、小銭稼ぎの行為だ」と切り捨てた。(c)AFP/Olivia HAMPTON