【4月9日 AFP】ベルギー連邦検察は8日、首都ブリュッセル(Brussels)で先月起きた連続テロに関連し、仏パリ(Paris)同時テロで指名手配されていたモハメド・アブリニ(Mohamed Abrini)容疑者(31)ら5人を逮捕したと発表した。両事件の実行犯とされるグループの実態解明に向けた捜査上の大きな進展となる。

 ブリュッセルで行われた検察の記者会見によると、アブリニ容疑者は市内アンデルレクト(Anderlecht)地区で逮捕された。他に身元不詳の容疑者2人も拘束されたという。

 ベルギーのテレビ局RTLは、男が武装した覆面の私服警官数人に歩道に押さえつけられた後、灰色の乗用車に乗せられる映像を放送し、アブリニ容疑者逮捕の場面とみられると報じた。

 モロッコ系ベルギー人のアブリニ容疑者は、昨年11月13日に130人が死亡したパリ同時テロの2日前、パリ北部のガソリンスタンドで実行犯の1人とされるサラ・アブデスラム(Salah Abdeslam)容疑者と一緒にいたのが確認されていた。アブデスラム容疑者は先月18日、実家のあるブリュッセルのモレンビーク(Molenbeek)地区で逮捕されている。

■「帽子の男」か

 アブリニ容疑者をめぐっては、3月22日にブリュッセル国際空港(Brussels Airport)が爆破される直前の防犯カメラ映像に自爆した容疑者2人と共に写っていた「3人目の男」ではないかとの疑いが、事件直後に浮上。警察は7日、帽子をかぶり明るい色の上着を着た男が現場から立ち去り、市内へと姿を消す新たな映像を公開した。

検察は記者会見で、現在アブリニ容疑者がこの「帽子の男」かどうか検証を行っていると説明。一緒に拘束された2人について、オサマ・K(Osama K)容疑者とエルベ・B.M.(Herve B.M)容疑者だと発表した。

 検察によるとオサマ・K容疑者は「ナジム・アフメド(Naim Al Ahmed)」の偽名も使用しており、ブリュッセル市内の地下鉄マルビーク(Maalbee)駅で自爆したハリド・バクラウィ(Khalid El Bakraoui)容疑者と事件直前に話していた人物の可能性があるという。この人物は、空港での自爆攻撃で使用されたバッグを市内のショッピングモールで購入する様子が防犯カメラに捉えられていたという。

 さらに検察は、オサマ・K容疑者が昨年10月にドイツからベルギーに来た際に使われたレンタカーが、パリ同時テロの際にアブデスラム容疑者に使用されている点も指摘した。2つの事件はいずれもイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出している。(c)AFP/Bryan McManus/Lachlan CARMICHAEL