【4月7日 AFP】フランス国民議会(下院)は6日、対価を支払う性行為を禁じ、違反者に最高3750ユーロ(約47万円)の罰金を科す買春禁止法案を可決した。

 欧州では売春のあっせん行為に関しては全ての国が禁止しているが、買春者を処罰する国はこれまでスウェーデン、ノルウェー、アイスランド、英国だけで、フランスは5か国となる。

 買春禁止法は初犯者には罰金1500ユーロ(約19万円)、再犯者には最高3750ユーロを科すことなどを定め、与党・社会党が支持。議席の過半数を押さえる右派が反対する上院に加え、左派が多数派の下院でも審議が行き詰まっていたが、最終的な決定権を持つ下院での可決でようやく成立にこぎ着けた。

 2013年10月の提出以来、同法案をめぐって仏世論は二分された。法案を「下劣なマニフェスト」と批判する著名人343人が連名で声明を発表し、売春婦の権利を主張したこともあった。

 これに対して法案を起草した社会党のモード・オリビエ(Maud Olivier)議員は、売春婦は「非行者などではなく犠牲者」とみなされるべきだと繰り返し訴えてきた。

 オリビエ氏はAFPの取材に「他人の体を買うのは普通のことという考えを終わらせるのに、この法律は必須だ」と述べ、同法によって意識変革が進むとの見通しを示した。同時に今後、人々の認識を向上させたり、警察官や司法関係者を訓練したりする取り組みも必要になってくると語った。

 法案の最終審議が行われた6日には、売春婦約60人が議会前で抗議の声を上げた。フランスでは少なくとも3万人が売春を職業としており、その5人に4人が外国人となっている。(c)AFP/Gina DOGGETT、Fabrice RANDOUX