【4月7日 AFP】かつてないほどの難民危機に直面し、対応や政策をめぐり分裂している欧州連合(EU)は6日、破綻した現行の難民政策を見直し、加盟国に受け入れ分担を求めるなどの改革案を明らかにした。

「ダブリン(Dublin)規制」と呼ばれる現行制度では、難民認定希望者らは最初に到着した国で保護申請を行う決まりで、申請せずにEUの別の国へ移動しても、申請者は最初の到着国に戻される。

 だがこの制度は時代遅れで、昨年シリア、イラク、アフガニスタンなどからEU域内に入った移民125万人の大半が最初に到着したギリシャやイタリアにとって、不公平との批判があった。

 欧州委員会のフランス・ティメルマンス(Frans Timmermans)第1副委員長は、ベルギーのブリュッセル(Brussels)で記者団に対し、2つの改革案の要旨を説明した。

 第1の案は、「ダブリン・プラス」と呼ばれるもので、現行制度を維持しながら、ある加盟国に難民の流入が急増した場合に難民の受け入れを加盟国間で分担し合う「補正公平メカニズム」を付け加えるもの。

 第2の案は、より抜本的に改革し、EU加盟国の人口、豊かさ、移民らの受け入れ能力に基づき、EU全体に移民らを自動的に配分するというもの。

 ティメルマンス委員長は、「どちらの案にも、さらなる連帯が必要とされるだろう」と付け加えた。

 EU各国は昨年9月、ギリシャやイタリアの移民ら16万人を加盟国で分担して受け入れる暫定措置に合意したが、これまでに実行されたのはわずか1100人にとどまっている。(c)AFP/Lachlan CARMICHAEL