■リードを守れず優勝を逃した羽生「悔しい」

 一方、羽生はフリーでミスが続いたが、ショートで稼いだ12点のリードと、パトリック・チャン(Patrick Chan、カナダ)の転倒にも助けられ、銀メダルを獲得した。

 4回転トーループを鮮やかに決めながらも、4回転サルコーでミスを連発した羽生は、映画『陰陽師』の楽曲『SEIMEI』に乗せた演技で自身が記録したフリーの歴代最高得点より34点も少ないスコアに終わり、優勝には届かなかった。

 合計得点でも昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルで記録した驚異の330.43点に届かなかった羽生は「悔しい。これを乗り越えたい」とコメント。そして、カナダのトロント(Toronto)で一緒に練習するフェルナンデスに向かってうなずきながら「この気持ちは説明できない。とても疲れているけれど、ハビ(フェルナンデス)の優勝を喜んでいる」と祝福した。

「良いプログラムを滑るには、身体と精神のバランスを整える必要があるけれど、今日はその点が足りなかったのかもしれない」

 そして総合3位には、合計270.99点を記録した中国の金博洋(Boyang Jin、ジン・ボーヤン)が入った。代名詞となっている冒頭の4回転ルッツで着氷が乱れるなど、いくつかのジャンプで精彩を欠いていた金だったが、それでも4つの4回転ジャンプと2つのトリプルアクセルで着氷を決めた。

 昨年の世界フィギュアでジュニアの部の銀メダルを手にしている金は、世界選手権の男子シングルで中国勢として初のメダルを獲得し、華々しいシニアデビューを飾った。

 一方、世界選手権で3度の優勝を誇るチャンは、ジャンプで着氷が乱れたほか、3回転ジャンプも2回転に終わるなどミスが続いた。これでメダル圏内から脱落したチャンは、合計266.75点で5位に終わった。(c)AFP/Laurie Nealin