【1月27日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)、ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)の元スーパースター、コービー・ブライアント(Kobe Bryant)氏が26日、米ロサンゼルス郊外で発生したヘリコプター墜落事故で死亡した。

【関連記事】ブライアント氏がヘリコプター墜落事故で死亡、元NBAのスーパースター

 高校を卒業してすぐにプロ入りを果たしたブライアント氏は、2015-16シーズンに現役を引退するまでに5度のNBA王者に輝き、米国代表としても2008年の北京五輪、2016年のロンドン五輪で金メダルを獲得した。2016年に行われた現役最後の試合では60得点を挙げる活躍をみせ、NBAでの輝かしい20年のキャリアに幕を引いた。

 そこで今回、ブライアント氏が新人時代にチーム内でどのような評価を得ていたのか、1996年にAFPが配信した記事を引用して振り返る。

――まだ18歳になったばかりのコービー・ブライアントは、NBAの世界に飛び込むことを少しも恐れてはいない。それどころか、レイカーズはこの新人を落ち着かせることに四苦八苦しているようだ。

 レイカーズのデル・ハリス(Del Harris)ヘッドコーチ(HC、当時)は、「実戦で見るのが楽しみだ。間違いなくチームにとって重要な選手になるだろう。こちらで押さえつけようとしてもね」と話している。

 1996年に3年総額350万ドルでレイカーズに入団したブライアントは、ウエアメーカーのアディダス(Adidas)とスポンサー契約を結び、さらにはテレビ出演も果たすなど、開幕前の「コービー狂想曲」は当時の本人がちょっと「異常だ」と言うほどの盛り上がりを見せていた。

 フィラデルフィア(Philadelphia)のローワー・メリオン(Lower Merion)高校3年生のとき、ブライアントは1試合平均30.8得点、12リバウンド、6.5アシスト、4スティール、3.8ブロックの成績を残し、「パレード(Parade)」誌と「USAトゥデー(USA Today)」紙から全米最優秀選手に選出された。

 現役時代にレイカーズで活躍した名選手ジェリー・ウェスト(Jerry West)氏は、「コービーはワークアウト参加者の中で最も優れた選手だった」と評価し、マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)に匹敵する選手だとして、NBAで輝かしいキャリアを築くことを確信していた。

■シャック「コービー・目立ちたがり屋・ブライアント」

 不安があるとすれば、若さゆえの勢いが未熟さの裏返しともいえるところだろうか。

 1996年9月、ブライアントはカリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)のベニスビーチ(Venice Beach)で遊びのゲームをしている最中に左手首を骨折し、合宿を控えていたチームをやきもきさせた。

 ブライアントはその後、プレシーズンの試合にはなんとか間に合い、数試合で2桁得点を記録したものの、今度は試合でドライブからの着地に失敗し、臀部(でんぶ)を痛めて開幕戦の出場が難しくなってしまった。これを受けてハリスHCは「派手なプレーを披露する場合、それが適切な状況なのかを考える必要がある」と苦言を呈していた。

 それでも、先輩のエディー・ジョーンズ(Eddie Jones)はブライアントに理解を示し、「彼はまだ若く、コートに出ると気持ちを抑えられないんだろう。それで観客を驚かせるプレーがしたくなる。まあ、だんだん理解できるようになるはずさ」と語っている。

 年俸総額1億2000万ドルでレイカーズ「同期」入団となったシャキール・オニール(Shaquille O'Neal)は、「コービー・目立ちたがり屋・ブライアント」と皮肉を込めて評価しながらも、ウェスト氏からブライアントのお目付け役を託され、引き受けたことを明らかにしている。

「そのうち改善されるだろう。ジェリー・ウェスト氏からあいつに目を配るように言われているが、父親にはなるつもりはない。本物の父親がいるからな。まあ、コート上の兄貴分くらいならできるだろう」

「あいつはまだ若いし、楽しんでプレーすればいい。俺はすぐうしろにいるつもりだ」

(c)AFP