■「台所でも作れる」

「インターネットで指導ビデオを見れば十分と言われることもあるが、それは違う」──そう話すのは、爆発物に詳しい仏軍の専門家だ。

「少なくとも1回は、どうやって作るのかを誰かが示す必要がある。だが、シリアやイラクのISでは、インストラクターとなる戦闘員が大勢いる。そして一回教えてもらえば、後は自分の台所でも作ることもできる」と述べた。

 最も注意を要するのは、混合物に酸を加える時。熱を発し、発火する恐れがあるからだ。それでも、防御として必要となるのは顔を覆うマスクだけだという。

 TATPは、昨年11月13日のパリの同時テロ事件で自爆ベストの爆薬として使われた。また、ブリュッセルの空港や地下鉄で22日に起きた爆発事件でも使用されたとみられている。

 ブリュッセルの事件では、31人が死亡し、270人が負傷した。負傷者の多くは重度のやけどに苦しんでいる。

 起爆剤は、ペースト状の詰め物の入った薄い金属チューブで作られる。つながれた2本の電線で火花を起こし、発火する仕組みだ。だが、こうした起爆剤は、一般的な販売店で簡単に購入できる。実際、パリ同時テロ事件の実行犯の一人として先週、ベルギーで身柄を拘束されたサラ・アブデスラム(Salah Abdeslam)容疑者は、パリの花火ショップで花火用の発火装置を何の疑いも持たれずに1ダース購入していた。

「TATPの大きな問題は、材料が簡単に入手できることだ」とフランスのテロ対策担当の治安当局者は語る。

「われわれは、過酸化水素水の販売を監視することはできる。しかし、彼らがもし賢ければ20の薬局で少量ずつ分けて買うだろう。それは、アセトンや酸についても同じことだ」

(c)AFP/Michel MOUTOT and Herve BAR