【3月21日 AFP】フランス史上最も有名な殉教者ジャンヌ・ダルク(Joan of Arc)のものとみられる指輪が20日、西部バンデ(Vendee)県にあるピュイ・デュ・フー(Puy du Fou)の歴史テーマパークで公開された。

 指輪は先月、英ロンドン(London)で開催のオークションに出品され、同テーマパークが37万6833ユーロ(約4700万円)で落札した。この指輪は過去6世紀にわたり、英国にあったという。ただ、指輪の真贋については疑問視する声も上がっている。

 約5000人が詰めかけた20日の記念式典では、施設の儀礼兵や士官学校の候補生らが行進した。指輪は専用の木箱に納められていた。

 パークの創設者であるフィリップ・ドビリエ(Philippe de Villiers)氏は、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)」演奏に先立ち、「指輪がフランスに帰ってきた。そして、ここにあり続けるだろう」と語った。

 オックスフォード(Oxford)研究所によると、金メッキが施された銀の指輪は15世紀のものとされる。だが、付随する多くの歴史文献からは、指輪がジャンヌ・ダルクのものであるとは証明されていない。

 指輪には、十字架3つが彫られているほか、「イエス-マリア(Jesus-Maria)」を意味する「JHS-MAR」と記されている。これは、1431年に行われたジャンヌ・ダルクの裁判記録と一致している。ジャンヌは法廷で、指輪は両親から贈られたものだと語っていた。

 ジャンヌ・ダルクは百年戦争(Hundred Years War)で、イングランドの占領からフランスを守ろうと戦い、火あぶりの刑に処せられた。後にフランスの抵抗のシンボルとなり、カトリック教会(Catholic Church)により後に聖人と認められている。

 指輪をめぐっては、その真贋が疑問視されている。その背景にあるのは、数多く出回っている複製品の存在が挙げられる。北部ルーアン(Rouen)にあるジャンヌ・ダルク博物館(Museum to Joan of Arc)は、指輪が偽物である可能性があるとして、先月のオークションに参加していない。(c)AFP/Hervé LIONNET