【3月20日 AFP】インドの当局者は19日、同国東部で牛を飼育していたイスラム教徒2人をリンチし殺害した容疑で5人が警察に逮捕されたと発表した。2人の遺体は木につるされた状態で発見されたという。

 2人の遺体は18日、ジャルカンド(Jharkhand)州ラテハル(Latehar)で発見された。遺体の発見後、警察の怠慢だと憤った村人たちが抗議して道路を封鎖し、数人の警察官が負傷するなどの事態に発展していた。

 AFPの取材に応じた地元当局者は、殺人容疑などで5人が逮捕され、逃走中の他の3人の容疑者についても警察は早期に発見し、逮捕するように努めていると述べた上で、殺人のきっかけは強盗、略奪行為だったとの検視報告書の見解を明らかにした。

 被害者の1人は10代で、2人は当時、近隣で開催される家畜の品評会に向かっていたとみられている。

 英字紙ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)によれば、ジャルカンドでは3か月前、ヒンズー教で食べることが禁じられている牛肉の食用をめぐってヒンズー教徒とイスラム教徒が衝突する出来事があった。

 しかし、地元当局者は宗教間の対立を伝える報道を一蹴し、警察の捜査では、事件にヒンズー教右派グループが関与していた証拠は今までのところ見つかっていないと述べた。

 人口約12億5000万人のインドにおいて、イスラム教徒は宗教的少数派としては最多の約13%を占め、インドの牛肉産業を担っているが、牛肉をめぐってヒンズー教徒との対立が時折、生じている。(c)AFP