【3月18日 AFP】欧州連合(EU)首脳会議は18日、移民や難民が欧州に殺到している問題について協議し、ギリシャに密航してきた移民全てをトルコに送り返す対策案をトルコのアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)首相に提示することで合意した。

 EU加盟28か国が1日をかけてまとめた対策案では、欧州が直面する第2次世界大戦(World War II)以来最大の移民危機に歯止めをかけるため、トルコがギリシャから送還された移民全員を受け入れる。ただ、この見返りとしてEUはトルコに対し、こう着状態にあるEU加盟交渉の加速化や、数十億ユーロの追加支援、トルコ国民のビザなし渡航など重い代償を支払うことになりそうだ。

 対策案では、トルコがギリシャから送還されたシリア難民を1人引き受けるごとに、EUはトルコ国内に滞在するシリア人1人を難民としてEU域内に受け入れる。エーゲ海(Aegean Sea)を渡る危険な密航船に乗る前に、トルコ国内でEUに難民申請するようシリア難民らを促すのが目的だという。ただ、この「1対1」の交換条件をめぐっては、国際法に違反している可能性があるとの批判が出ている。

 ダウトオール首相は18日にドナルド・トゥスク(Donald Tusk)欧州理事会常任議長(EU大統領)や欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長らと会談する予定。EUは、その後の首脳会議で対策案の正式合意を目指しているという。(c)AFP/Danny KEMP