【3月16日 AFP】英劇作家ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)の肉筆原稿が含まれる演劇脚本が、シェークスピアの死後400年を記念してオンラインで公開された。英国の大英図書館(British Library)が15日、発表した。シェークスピアが書いたとされる部分には、主人公が外国人排斥主義に反対する熱烈な演説を行う場面もみられる。同作品の脚本としては、現存する唯一のものだという。

 オンラインで公開中のこの脚本は、議論を呼んだ演劇「サー・トマス・モア(The Book Of Sir Thomas More)」の一節。1517年に英ロンドン(London)で起きた外国人排斥の暴動で、主人公の政治家モアが暴徒らに対し、自らが国外追放の刑に処されたことを想像するよう呼び掛け、騒ぎを鎮圧する場面だ。

 全164行で構成されるこの場面は、戯曲改訂のため招集された劇作家の一人として、シェークスピアが書いたとされている。同作品は当初、1596年から1601年の間に英劇作家のアンソニー・マンデイ(Anthony Munday)が書いたものとされ、後に行われた改訂のため別の劇作家数人が集められた。

 改訂作業に関連する手書きの6原稿のうちの一つが、筆跡、つづり字、語彙や、表現の描写や着想などに基づき、シェークスピアの作品と特定された。

 大英図書館は「モアは、自分の主張を伝えるために、人間の共感する能力を頼りにして、次のように訴えかける。暴徒らが突然、国外追放の刑に処せられたら、彼らもまた『惨めなよそ者』になり、同様に攻撃の対象になり得るだろう」と述べている。

 この戯曲が最終的に上演・出版されたという証拠は存在していない。

 手書きの原稿は、オンラインでの公開の他、4月15日からロンドンの大英図書館で展示される予定。

 シェークスピアは1616年4月23日に52歳で死去した。(c)AFP