■『カーダシアン家』を見ているような子が

 パキスタン系の信心深い家庭に生まれ、英国で育ったミルザさんは今まで自身のコメディーは決して「政治的な意図はない。全て観察に基づいたもので、ただジョークを言っているだけ」だとしていた。

 だが、ロンドン(London)在住の10代の少女3人が昨年、ISに加わるために学校をやめてシリアへ向かったというニュースが世界中で大きく報道されると、ミルザさんの気持ちに変化が生まれた。自分のコメディーを通じて「何か伝えるべきことがある」かもしれないと思うようになったという。

 コメディアンになる前は理科の教師だったというミルザさん。地元の中等学校で教壇に立ち、シリアを目指した少女らと同じようなバングラデシュ系の少女たちを何百人も教えてきた経験を持つ。

「もしハンサムでワイルドなイスラム版ブラッド・ピット(Brad Pitt)が『俺のところに来てくれ』という手紙と自分の写真を15歳の私に送りつけてきたら、私はわくわくする旅立ちの時がやってきたと勘違いしてしまっていたかもしれない。でもそれは宗教とは何ら関係がない」

 新作コメディーを「カーダシアン家が私にそうさせた」と銘打ったのも、シリアに行った少女の姉妹の一人が英議会の公聴会で「なぜ行ってしまったのか分からない。(米リアリティー番組の)『カーダシアン家』を見ているような子だったのに」と証言し、イスラム教の聖典コーランよりも芸能界の方に興味を持っていたという証言にヒントを得たとしている。