【3月13日 AFP】男子テニスのラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が、2012年にドーピング違反を隠すためにツアーを欠場していたと、フランスの元スポーツ大臣が発言した。

 2007年から10年までフランスのスポーツ大臣を務めたロゼリーヌ・バシュロナルカン(Roselyne Bachelot-Narquin)氏は、四大大会(グランドスラム)で14度の優勝を誇るナダルが2012年にドーピング違反を隠すため、けがを偽ったと明かした。ナダルは当時、膝の負傷を理由に6か月間ツアー大会を欠場していた。

 バシュロナルカン氏のコメントが報じられる前には、マリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)が今年1月の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2016)でドーピング違反を犯したことを発表している。

 ナダルのおじでコーチを務めるトニ・ナダル(Toni Nadal)氏はスペインのラジオ局に対し、バシュロナルカン氏への怒りをぶつけた。

「最近では、人の罪を証明するためには、自身の罪の無さを証明しなければならない。そうすれば、こういった間抜けな人間もばかげた発言をできる」

 一方で、来月ナダルも出場を予定しているバルセロナ・オープン(Barcelona Open Banc Sabadell 2016)も、ナダルへの支援を表明した。

「バルセロナ・オープンは、フランスのロゼリーヌ・バシュロナルカン元大臣の、悪意ある、不当で容認しがたいコメントを受けて、ラファエル・ナダルを全面的に支援することを表明します」

 大会幹部のアルベルト・コスタ(Alberto Costa)氏は、来週にはナダルへの支援を伝えるため、マイアミ・オープン(Miami Open 2016)の会場に駆けつける予定だという。

 一方で、サッカースペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)を率いるジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)監督も、ナダルを個人的に擁護した。

 レアルの名誉会員(ソシオ)であるナダルについてジダン監督は「ラファ・ナダルは紳士で、誰にも愛され、自分自身の価値を示している人間だ。気の毒だ。彼はプロだし、少し彼のことを知っている。あの発言には当惑する」と語った。

「ナダルはこのことを脇に追いやって、フランス人だろうとスペイン人だろうと米国人だろうと、テニスを愛している人はラファ・ナダルを愛していると考えるべきだ」

 また、レアル・マドリードも、スペインで最も愛されるスポーツ選手であるナダルを擁護する声明を発表している。

「ラファ・ナダルはテニスの基本的な価値を代表している。彼の偉業と偉大さは、他への模範となる行動、揺るぎない働き、そして才能や驚くようなレベルの献身性が基礎になっている」

 ナダルは現在開催中のBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2016)開幕を前に、これまでの戦績を非難するような声に落胆した様子を見せていた。

「不正にそそられたことは今までに一度もない。僕は、ドーピングというものからはかけ離れている。ドーピングのうわさは過去に何度か耳にしているけれど、少しうんざりしている」

(c)AFP