【3月14日 AFP】フランスでは、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に魅力を感じてイラクやシリアに渡ろうと考える10代若者の過半数が少女で、少年よりも多い傾向がある――。仏政府の反テロ対策を担当する高官が前週、匿名でAFPに明らかにした。

 この情報筋によると、ISに加わるためイラクやシリアに渡航する計画に興味を持ったり、既に渡航したりした未成年のうち、55%を少女が占めているという。

 シリアへの渡航を夢見る少女たちは、いわゆる「ジハーディスト(イスラム聖戦士)の花嫁」になりたいと願っているだけではない。彼女たちを待ち受ける運命はIS戦闘員との結婚である可能性が高いとはいえ、少女たちも少年たち同様にISの暴力行為に魅せられているのだと、社会学者のファラド・コスロカバル(Farhad Khosrokhavar)氏は指摘する。

「以前なら暴力行為は、ほぼ男子のみに特徴的な現象だった。だが、この世代は異なる様相を呈している」。過激思想に染まったフランスの少年少女たちへの聞き取り調査を数多く行ってきたコスロカバル氏は、AFPの取材にこう語った。

■「クアシ」になりたい少女たち

 コスロカバル氏が話を聞いた少女たちの多くが「理想とする人物はクアシだ」と述べたという。クアシとは、昨年1月にパリ(Paris)の風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社を襲撃して12人を殺害した兄弟、シェリフ・クアシ(Cherif Kouachi)容疑者とサイド・クアシ(Said Kouachi)容疑者のことだ。

「少女たちがなりたがっているのは、クアシの妻や恋人ではない。クアシ本人なのだ」(コスロカバル氏)

 コスロカバル氏によると、こうした少女たちは身近にいる西洋社会の「未熟な若い男の子たち」に飽き飽きしているのだという。「そこには、男らしさに関する新しいカルト的なヒロイズム(英雄崇拝主義)がある。10代の少女たちにとって、イスラム過激派の若い戦闘員たちが男らしさの理想となっているのだ」

「これは男性上位主義的なポストフェミニズムの一種であり、つまり、彼女たちは伝統的な男らしさを美徳とする男性を求めているのだ」とコスロカバル氏は話した。(c)AFP/Michel MOUTOT