【3月11日 AFP】世界の大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が昨年、記録的な速度で上昇したことが、米海洋大気局(NOAA)の科学者たちの報告で明らかになった。

 NOAAは声明で「2015年の大気中のCO2濃度の年間上昇量は<中略>3.05ppmの急上昇で、56年間の調査中、最大の年増加量だった」と述べた。また年間の上昇が連続して2ppmを超えたのは、昨年で4年目となった。観測値はハワイ(Hawaii)州にあるNOAAのマウナロア観測所(Mauna Loa Observatory)の測定による。

 1800年以前では約280ppmだった大気の平均CO2濃度は、今年2月の時点で402.59ppmだった。産業革命期前と比べて大幅に増えている。

 NOAAの「世界温室効果ガス・リファレンス・ネットワーク(Global Greenhouse Gas Reference Network)」の主任科学者ピーター・タンス(Pieter Tans)氏は「CO2レベルは、過去数十万年間よりもずっと急速に上昇している。自然の作用と比べて爆発的増加だ」と述べた。

 NOAAによるとCO2の飛躍的上昇の原因は、部分的にはエルニーニョ(El Nino)現象として知られる気候現象によるものだという。エルニーニョは世界の海洋の一部を暖め、異常な降雨と干ばつを引き起こしている。他の上昇原因は、化石燃料の燃焼により高レベルの排出が継続していることだ。同じようなCO2の飛躍的上昇が前回観測されたのは1998年で、同じく強力なエルニーニョの年だった。(c)AFP