【3月8日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)のクレイグ・リーディー(Craig Reedie)会長は7日、ドイツ公共放送連盟(ARD)のドキュメンタリー番組で、ロシアの陸上界では依然として違反がなくならない状況が詳細にわたり報じられたことを受け、遺憾の意を示した。

「ロシアのレッドヘリング(Russia's Red Herrings)」と題されたこの番組では、露反ドーピング機関(RUSADA)内で複数の職員による新たな違法行為や、同機関の関係者がアスリートに対してあらかじめドーピング検査の予定を伝えていたという疑惑が報じられた。

 番組のレポートではさらに、ロシア陸上競技連盟(ARAF)の関係者が、アスリートに禁止薬物を提供している上に、WADAの報告によって資格停止となったコーチ1人が、処分中にもかかわらず指導者を務めていることが明らかにされていた。

 WADAは今回の報道を受けて、疑惑を検証し、レポートが伝えた証拠の収集時期を確認するとしている。

 リーディー会長は、「スポーツの信頼性が損なわれているこの時期に、これらの問題証言が出てくることは、クリーンなアスリートが最も必要としているロシアの反ドーピングシステム再建に影響する」とコメントした。

「今回の疑惑では、依然としてロシアでの仕事が山積していることに加え、損なわれたイメージを回復するために、ロシア当局へのわれわれの全面的かつ揺るぎない協力が必要であることが示されている。問題が解決しない限り、クリーンなアスリートが信頼した環境で試合に臨むことはできないだろう」

 一部の選手が、過去にドーピング違反を犯したロシアの選手はリオデジャネイロ五輪への出場を認められるべきでないと主張していることについて、ロシア当局と同様に、国際陸上競技連盟(IAAF)でも検討が行われている。

 WADAはRUSADAと協力し、世界ドーピング防止規程(WADA Code)の下でプログラムの信頼回復に努めており、検査に関しても英国反ドーピング機関(UKAD)による監視が行われている。(c)AFP