【3月3日 AFP】一代で財を成したオーストラリアの石炭産業の富豪、ネーサン・ティンクラー(Nathan Tinkler)氏(40)が、裁判所命令への異議申し立て期間を過ぎ、破産が正式に決まった。資産総額が10億豪ドル(約830億円)を超える、オーストラリアで最年少の「ビリオネア」になってからわずか5年での転落となった。

 スポーツクラブや競馬への多額の投資や、財を成していく過程で多くの敵をつくるなどして注目を集めたティンクラー氏は3日、債権者と家族に謝罪するとともに、新聞の取材に対して「背後でシャンパンのコルクが飛ぶ音が聞こえるよ」と語った。

 炭鉱業界で電気技師としてスタートしたティンクラー氏は、抜け目がない石炭取引を繰り返して富を築いた。2011年には個人の資産総額が11億3000万豪ドル(約940億円)に上り、オーストラリアの若手富豪のトップとなった。巨万の富でオーストラリアの国民的スポーツ、ラグビーとサッカーに投資し、サラブレッドの飼育場も所有した。

 だが近年の石炭価格の下落により、財政状況がひっ迫していた。

 ティンクラー氏は豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)に対し「債権者と家族に謝罪したい」と語ったが、石炭に反対する活動家になれば大成功するかもしれないと皮肉を付け加え、さらに「活動家になるかもしれない。そうすれば政府やメディアの全面的な支持を得られるだろうし、それに何も責任を負わなくていいからね」と話した。(c)AFP