【3月1日 AFP】ドイツ自動車大手ダイムラー(Daimler)傘下のメルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)がディーゼル車に排ガス量をごまかす技術を搭載していたとして民事訴訟が提起されたことを受け、米環境保護局(EPA)は同社に対し、排ガス量に関するデータの提出を求めた。EPAの広報担当者が2月29日、明らかにした。

 メルセデスが同社のディーゼルエンジン搭載モデル14車種に、基準値を超える窒素酸化物(NOx)を排出しても隠蔽(いんぺい)できる装置を搭載して規制当局を欺いていたとして、米国内のユーザーらが先月、同社を相手取った集団民事訴訟を起こした。EPAはこれを受け、データ開示の要請に踏み切った。

 米法律事務所ハーゲンス・バーマン(Hagens Berman)が、米メルセデス・ユーザーらの代理人として提訴したこの訴訟は、メルセデスのディーゼル技術「BlueTEC(ブルーテック)」に照準を合わせたもの。同社はブルーテックがもたらす環境保全上の利点を大々的に宣伝していた。

 EPA広報担当のジュリア・バレンタイン(Julia Valentine)氏は「訴訟については承知している」として「EPAはメルセデスに連絡し、米国向けディーゼルエンジンに関する検査結果の提出を求めた」と述べた。

 メルセデスの広報担当者によると、同社はEPAからの要請を受けており、対応を準備中だという。

 同担当者は「わが社は、今回の集団訴訟は事実無根だと考えている」とし、「あらゆる法的手段を用いて自社を守る」との意向を示した。その上で、「わが社は、環境保護に極めて真剣に取り組んでおり、米規制当局との間にこれまで築き上げてきた信頼と協力関係を高く評価している」と語った。

 ハーゲンス・バーマンの訴訟は、今回のメルセデスの問題を、同社のライバルであるドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)を取り巻くスキャンダルになぞらえた。VWは、全世界でディーゼル車約1100万台に、排ガス規制を欺くための「無効化の仕組み」を搭載していたことを認めた後、各国政府による調査を受けるとともに、激しい非難にさらされている。(c)AFP