【2月29日 AFP】プロボクサーの五輪出場を認めるという提言を受け、元ヘビー級王者のレノックス・ルイス(Lennox Lewis)氏が、若手のアマチュアボクサーにとっては危険だとして、反対の立場を示している。

 1988年のソウル五輪でスーパーヘビー級の金メダルを獲得した経験を持つルイス氏は、それを足掛かりにプロデビューし、英国籍を取得して、世界ヘビー級の統一王者になった。

 ルイス氏は、BBCラジオ5ライブ(BBC Radio Five Live)の中で、「あまりに不合理な考えかもしれないね。アマチュアのシステムは、アマチュアのためにある。だからヘッドギアを着用して、経験不足な自分たちを守れるようにしているんだ。それに彼らは、プロになる準備もできていない」と述べた。

「それを今から突然、世界王者やトップ10選手の出場を認め、基本的に経験不足なアマチュアと戦わせようとしている。それが公平だとは思わないね」

 ルイス氏は、2012年のロンドン五輪で同じくスーパーヘビー級の金メダルを獲得したアンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua、英国)を例にあげ、次のように説明した。

「アンソニー・ジョシュアは五輪に出たけど、あのとき、ウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)と対戦していたら、フェアではなかっただろう。なぜなら、ウラディミールには五輪の出場経験や、そこからの学びもあっただろうし、今やプロとして約70戦の経験がある」

「今からやろうとしているのは、経験豊富なプロボクサーが、例えば、プロ10戦という18歳の子どもを相手に、金メダルを懸けて戦いを挑むようなものだ」

「その辺が私にはあまりよく理解できない」

 1988年の五輪で、国際ボクシング協会(AIBA)が提案するシステムが採用されていたら、ルイス氏は、ソウル(Seoul)のリングで当時の王者マイク・タイソン(Mike Tyson)氏と戦うことになっていた。これについてルイス氏は、当時の自分にその準備はできていなかっただろうと明言している。(c)AFP