【2月26日 AFP】イタリア上院は25日、同性カップルに結婚に準じた法的権利を認める「シビル・ユニオン」を合法化する画期的法案を賛成多数で可決した。ただ、同性カップルの養子縁組を認める条文は当初案から削除されており、同性愛者の権利活動家らからは失望の声が上がっている。

 イタリアは欧州の主要国では唯一、同性カップルの法的権利を保障していない。当初の法案はカトリック教会の猛反発に遭い、マッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)首相は同性カップルがパートナーの子どもを養子にできるとした条項や、同性カップルが互いに貞節であることを義務付けた条項の削除を強いられた。

 首相は修正後の法案を通過させるため、自身の政権を危険にさらす信任投票を25日に実施することを決断。結果、法案は賛成173、反対71で可決された。

 修正案で保持された内容には、カップルが精神的・物質的に支援し合う義務や、外国人パートナーの居住許可、姓を相手のものに変える権利が含まれる。

 また法案成立後も、同性のパートナーを持つ人が個人として養子縁組を申請することは可能だ。国内ではこれまでに、子どもにとって最善の利益になるとして、こうした申請が裁判所により認められたケースが複数ある。

 修正後の法案に対しては、同性愛者の人権団体から怒りの声が噴出。約30の団体が共同声明で、同法案は「同性カップルの子どもたちの存在や需要を完全に無視している」と厳しく批判した。

 法案は今後、下院を通過する必要があるが、レンツィ政権は下院で上院以上の過半勢力を握っており、2か月以内に可決される見込みだ。(c)AFP/Fanny CARRIER