【2月26日 AFP】銃乱射事件の容疑者が所有していた「iPhone(アイフォーン)」のロック解除をめぐり、製造元の米アップル(Apple)と米政府が対立している問題で、アップルは25日、カリフォルニア(California)州の連邦裁判所に対し、ロック解除命令の取り消しを求める申し立てを行った。

 問題の発端は、米当局がアップルに対し、同州サンバーナーディーノ(San Bernardino)で昨年起きた銃乱射事件の容疑者が所有していたiPhoneのセキュリティーロック解除を要請したことだった。両者は以降、通常は所有者のみがアクセスできる端末内のデータについて、当局のアクセスを可能にするため企業側がどこまで協力すべきかという問題をめぐり、対立を続けている。

 アップルは今回の申し立てで、ロック解除の強制は、政府の法的権限を逸脱していると主張。「政府はアップルに対し、iPhoneの暗号を破るバックドア(裏口)をつくるよう要求している。これは、ユーザーの最も内密で個人的な情報を、ハッカーや、なりすまし犯、敵対的な外国機関、そして政府の不当な監視活動に対して無防備な状態にする行為だ」と指摘し、政府の要請は憲法に違反していると主張している。

 アップル経営陣は記者団に対し、ロック解除命令は「新しいOS(基本ソフト)」あるいは「政府のOS」の開発を事実上要求するものであり、これが米連邦捜査局(FBI)に繰り返し使用されたり、外部に流出したりする恐れがあると述べた。

 これを根拠に、アップルは、政府は同社に自社の価値を損なうソフトウエアをつくることを強要しており、憲法で認められている表現の自由を侵すものだと主張している。(c)AFP/Rob Lever