【2月24日 AFP】スウェーデンの裁判所は23日、女性に薬剤を飲ませて拉致・監禁したとして起訴された医師の男（38）に対し、禁錮10年の判決を言い渡した。男は自宅そばに秘密の防音小屋を作り、そこに女性を何年にもわたって監禁しようと計画していたとされる。

　地元では評判の良い医師として知られていたマルティン・トレネボリ（Martin Trenneborg）被告は、オーストリアで実の娘を24年間地下室に監禁して繰り返し性的暴行を加えたヨーゼフ・フリッツル（Josef Fritzl）受刑者とも比較されている。

　被告は昨年9月10日、インターネット上で知り合った被害者の女性と、首都ストックホルム（Stockholm）にある女性の自宅で初めて会った。その際、自分は米国人だと偽っていたという。

　被告はその2日後、鎮静剤入りのイチゴやシャンパン、フルーツジュースを持参して再び女性の元を訪れた。女性が意識を失うと、車いすに乗せて自分の車まで運び、550キロ離れた同国南部のクリシャンスタード（Kristianstad）近郊の自宅に連れ帰った。

　被告は自宅の敷地内に、外から見ると庭の物置のように見える防音仕様の小屋を用意し、そこに鍵をかけて女性を監禁。小屋にはトイレとベッドが備え付けられ、電子錠の付いた2枚の厚いドアがあったという。

　裁判所は、被告が長い時間をかけて綿密な計画を立てたと指摘。被害者に薬剤を飲ませた上で、女性を隔離された小屋の中で「極めて劣悪な状態に置き、深刻な危険にさらした」と断じた。

　これに対し弁護側は、被告は精神疾患を患い、友人にも恵まれず孤独だったと主張。「交際相手を切望していた」とし、非常に後悔していると強調した。

　量刑が言い渡された後、被告側の弁護士はAFPに対し、被告と被害者の女性は「性的関係を持ったが、それは合意に基づくものだった。女性はセックスワーカーであり、被告は性行為の料金を支払っていた」と語った。(c)AFP/Hugues HONORE