【2月24日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は24日、欧州諸国が取っている移民危機に対する「恥ずべき」対応とテロ防止策は、こうした国々で長年行われてきた人権保護の取り組みを損ねる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 英ロンドン(London)に本部を置くアムネスティは、同日に年次報告書を発表。これまでは主に独裁政権による人権侵害を糾弾してきたが、今年の報告書ではその矛先を、世界で最も古くから民主主義を採用している国々の一部に向けている。

 旅券なしでの自由な往来を認めるシェンゲン協定(Schengen Agreement)を批准している欧州連合(EU)諸国の一部は、中東やアフリカ、南アジアから内戦や迫害を逃れて押し寄せる移民・難民の入国を制限する措置を取っている。

 アムネスティのサリル・シェティ(Salil Shetty)事務総長は、「世界で最も豊かな欧州が、世界で最も迫害を受けている人々の基本的権利を尊重できないのは、恥ずべきことだ」と非難。さらに、欧州を目指す人々に安全で合法的な経路を確保するよう呼び掛け、「集団として罰する」のではなく、個別の事例に合わせた対応を取るべきだと述べた。

 アムネスティはまた、欧州各国で反テロ法が新たに導入されたことに懸念を表明。特に、昨年11月に130人が死亡したイスラム過激派による仏パリ(Paris)の同時テロ事件後、同国で発令された非常事態によって「人権が損なわれている」と指摘した。(c)AFP/Alice RITCHIE