【2月24日 AFP】世界の海面は現在、過去2800年間で最速のペースで上昇しているとの研究結果が発表された。人為的な気候変動の影響がなければ、海面は下降していた可能性すらあるという。

 米ラトガース大学(Rutgers University)が主導した研究によると、1900年~2000年の間に、世界の海面は約14センチ上昇したという。研究の成果は米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された。もし地球温暖化がなければ、過去100年間で海面は3センチの下降から約7センチの上昇までの範囲で変化したと考えられ、その変化の幅はより小さかったはずだとしている。

 論文主執筆者で、ラトガース大学地球惑星科学学部のロバート・コップ(Robert Kopp)准教授は、「20世紀の海面上昇は、過去3000年間でみると桁外れだった。そしてこの20年間での海面上昇のペースはさらに急速になっている」と指摘する。

 研究は、化石燃料に大きく依存した状態が続けば、21世紀の間に世界の海面が50~130センチ上昇する事態は避けられないと予測するが、たとえ化石燃料を段階的に廃止したとしても、海面は21世紀末までに約24~61センチ上昇する可能性が高いとしている。

 現在の世界平均気温は、19世紀末の平均気温を約1度上回っている。科学者らによると、地球は、気温の小さな変化に対して信じられないほど敏感だという。

 ラトガース大が率いた今回の研究は、世界24か所の観測点で収集されたデータや、66の潮位計による過去300年分の測定記録などを含むデータベースに基づくものだ。研究論文には、米ハーバード大学(Harvard University)、米ウッズホール海洋研究所(WHOI)、ドイツ・気候変動ポツダム研究所(PIK)などの共同執筆者が名を連ねている。

 米気候研究機関クライメート・セントラル(Climate Central)が22日までに発表した別の研究報告によると、地球温暖化がなかった場合、1950年以降に米国沿岸部で起きた洪水災害8000件の半数以上は発生しなかったと想定されるという。(c)AFP