【2月23日 AFP】デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相は22日、下院で演説し、6月に実施する国民投票で欧州連合(EU)離脱に賛成票を投じれば、英国の経済と安全保障が脅かされる恐れがあると警告した。英国のEU残留の是非を問う国民投票の決定を受け、既に為替相場では英ポンドの価値が下落している。

 英ポンドは22日午後、対ドル相場がここ7年で最安値の水準まで落ち込んだ。こうした中、キャメロン首相は「(EU)離脱という選択の経済的影響を正しく直視する」ときが来たと議員らに訴えた。

 EU懐疑派は、EUを離脱した後もEU諸国との貿易は可能なうえ、司法と国境管理の権限を回復できると主張している。しかし、キャメロン首相はこうした考えは「主権の幻想」に過ぎないと一蹴。さらに、テロの脅威とロシアのウクライナ侵攻を受けてEU加盟28か国の一員でいることがこれまで以上に重要になっているとして、「西側の内部で分裂している暇はない」と述べた。

「英国は偉大な国であり、どのような選択をしようとも、偉大であることに変わりはない。ただ、改革されたEU内にとどまってさらに偉大な英国となるか、あるいは未知の世界に跳び込むか、という二択になると私は考えている」(キャメロン氏)

 6月23日に予定されている国民投票について、アナリストの大半はEU残留との結果を予想している。一方、世論調査では英国民の意見が二分されている状況が明らかになっており、さらにボリス・ジョンソン(Boris Johnson)市長が離脱支持を表明したことで、離脱派の機運は高まっている。

 キャメロン内閣でも既に6閣僚が離脱支持を表明。また、与党・保守党に所属する下院議員330人中、3分の1が離脱に傾いているという報道もある。(c)AFP/Alice RITCHIE