【2月22日 AFP】フランス北部カレー(Calais)郊外にある大規模な移民キャンプ、通称「ジャングル(Jungle)」で難民たちが立ち退きを迫られている窮状を広く知ってもらおうと、英俳優ジュード・ロウ(Jude Law)さんと脚本家トム・ストッパード(Tom Stoppard)さんが21日、キャンプ内で公演を行った。

 ロウさんは、掘っ立て小屋やテントが並ぶキャンプ内のぬかるんだ道を歩いて、英ボランティアらが昨年仮設した劇場「グッド・チャンス(Good Chance)」劇場に到着。ロウさんや人気歌手トム・オデール(Tom Odell)さん、俳優トビー・ジョーンズ(Toby Jones)さんら英国の俳優やミュージシャン、コメディアンたちによるショーを、キャンプに暮らす200人ほどが楽しんだ。

「ジャングル」は南区画の取り壊しをフランス政府が決定しており、早ければ23日にも解体が始まる。

 ロウさんは、取り壊し延期を仏政府に要請するようデービッド・キャメロン(David Cameron)首相に嘆願する署名運動に協力している。取り壊しで居場所を失う「ジャングル」の子どもたちの保護を訴える嘆願書には、既に著名人150人超を含む9万6000人以上の署名が集まっており、英人気俳優のベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)さんやイドリス・エルバ(Idris Elba)さんも署名している。

 英難民支援団体「ヘルプ・レフュジーズ(Help Refugees)」の統計によると、解体対象となっている南区画には440人の子どもが暮らし、うち291人は保護者となる大人が同伴していないという。

 仏政府が「ジャングル」の一部取り壊しを決めた背景には、フェリーや英仏海峡トンネル(Channel Tunnel)を経由して英国への密入国を試みる移民たちを阻止する狙いがある。しかし、ロウさんらの嘆願書は「戦争や迫害によって家を捨てざるを得なかった人々の居場所を再び奪う行為だ」と、取り壊しを批判している。(c)AFP