【2月21日 AFP】米軍が19日にリビアで実施したイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に対する空爆について、セルビア政府は昨年11月に拉致されたセルビア大使館職員2人が巻き込まれて死亡したとの見解を20日、明らかにした。

 米軍の空爆はリビア西部、地中海(Mediterranean)沿岸のサブラタ(Sabratha)近郊にあるISの訓練キャンプを標的に行われ、数十人が死亡した。セルビアのアレクサンダル・ブチッチ(Aleksandar Vucic)首相は記者団に対し、外務省職員2人の死亡が確認されたと語った上で「死因は爆発であり、われわれが述べているのは言うまでもなく、米軍の空爆のことだ」と述べ、「これはわが国が初めて直面した深刻な人質事件だ」と語った。

 一方、米国防総省は、空爆でセルビア人2人が死亡したとの情報はないと述べ、2人が死亡した状況は「明らかになっていない」との認識を示した。

 また米当局は、欧米諸国の関連施設を狙った攻撃を計画していたイスラム過激派の「サビル(Sabir)」ことヌルディーヌ・シュシャン(Noureddine Chouchane)容疑者が、今回の空爆で死亡した可能性が高いと発表した。

 シュシャン容疑者は、昨年7月にチュニジア北部スース(Sousse)近郊のビーチリゾートが襲撃され英国人30人を含む観光客38人が死亡した事件や、昨年3月に首都チュニス(Tunis)の国立バルドー博物館(National Bardo Museum)が襲撃され観光客21人と警官1人が死亡した事件に関与した疑いが持たれていた。ISは両事件について犯行声明を出している。

 他方、リビア東部を拠点とし、国際社会から承認されている政権は、米軍の空爆はリビア当局と連携して行われたものではなく「リビアの国家主権の侵害に当たるのは明白だ」と非難した。(c)AFP/Katarina Subasic with Mohamad Ali Harissi in Tripoli