■「その時間は無駄にならない」

 引退表明後、ジュエリーデザインやテレビ出演に挑戦する傍ら、大学に通うなど方向性がなかなか定まらない中、ソープ氏は、2012年ロンドン五輪の代表選考会で敗退し、五輪復帰を逃した。

 2014年、うつ病の治療を終えたソープ氏は、自身が同性愛者であることを公表。カミングアウトによって、スポーツ界におけるホモフォビア(同性愛嫌悪)の風潮に歯止めをかけたとして、ソープ氏には多くの称賛が寄せられた。

 ブログの中で、ソープ氏は「引きこもったり、自分の世界に閉じこもったり」したこともあったと回想すると、若年層に向けて、心の問題を理解し、それに立ち向かうよう訴えかけた。

「もしあなたが病気に負けて、これが現実だと受け入れてしまったら、うつ状態になるだけでなく、暗い考え方しかできない人間になってしまう」

 モデルのライアン・チャニング(Ryan Channing)と交際していることが報じられているソープ氏は、心の問題を受け止め、コントロールできるようになってから、「ものすごく幸せ」になったという。

「たまに気分が落ちることもあるけど、それが僕を定義づけるものではないと心に決めたんだ」

「ここにたどり着くまでかなりの時間がかかったけど、その時間が無駄にはならないことを保証する」

「世界の面白さに気づき、毎日、好奇心を持って過ごしている。永遠のように思えた時間には、感じられなかったことだ」

(c)AFP