【2月16日 AFP】(更新)国際的な停戦圧力が高まるなか、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が首都ダマスカス(Damascus)でAFPの独占インタビューに応じた。11日に行われたインタビューでは、内戦終結に向けた和平協議を続けるとしながらも、「テロとの戦い」を継続し、シリア全土を奪還すると明言している。

 12日に公開されたインタビューは、AFP側がフランス語で質問し、大統領がアラビア語で答える形で行われた。

Q:多くの市民が飢えに苦しみ、あなたの盟友であるロシアの空爆から逃げて、国境を越えてトルコへ渡ろうとしていることをどう思うか? 海を越えられず水死している人々の写真を見て何を感じるか?

A:感情について話すなら、私は彼らと同じ気持ちでいる。しかし、この苦しみをもたらしているのはテロリストであって、欧米のメディアが主張しているようなロシアの空爆ではない。移住者が増えている原因は、5年近く続くシリアに対する経済制裁だ。だから私たちシリア政府の最優先事項はテロリストと戦うことだ。戦いには主にシリアの力を使うが、友人たちの支援も活用する。

Q:欧州へ移住している人々に何と言うか? 戻って来てくれと頼むか?

A:シリアを去った全ての人に戻って来てくれと頼みたい。テロ攻撃が収まり、状況が落ち着いたら、彼らは自らの意思で戻って来るだろう。だから、私は彼らに頼む代わりに、テロリストをかばったり経済制裁を科したりして、彼らの移住の直接的な要因を作っている欧州諸国の政府に対し、シリア人が祖国に戻るようにしてほしいと呼び掛けたい。

Q:シリア全土を再び掌握できると思うか?

A:できるかどうかにかかわらず、それが、私たちが全力で成し遂げようとしている目標だ。どこかの地域をあきらめるということは絶対にない。シリアが周辺国から孤立して、これがシリアだけで完結できる問題だったら、とっくに解決している。だが現実には、周辺国からテロリストに物資がわたっているために今のような状況に陥っている。

Q:あなたの最大の敵は?いわゆる穏健派の反体制派やイスラム組織か、それともイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」か?

A:武装している誰かを言い表すのに、フランスであれ世界中のどこであれ、「反体制派」という言葉を使うことができるとは思わない。武装勢力の大半は、ISやアルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)などの過激派に属している。なので私の答えは、『全てのテロリストが敵』だ。

Q:歴史のなかで自分はどのように位置づけられると思うか?シリアを救った人物となるか、破壊した人物となるか?

A:それは誰がその歴史を記すかに左右される。欧米が記せば、私について悪いことばかりが書かれるだろう。重要なのは、私がどう考えるかだ。言うまでもなく、私が今やっていること、これからも続けることは、シリアを守ることであり、大統領の座を守ることではない。

Q:本当にまだ交渉する意思はあるのか?

A:この危機が始まったときから、私たちは交渉と政治的な解決を全面的に信じてきた。しかし、交渉するということは、テロとの戦いをやめるという意味ではない。避けられない道が2つある。1つは交渉であり、2つ目はテロとの戦いだ。この2つの道はそれぞれ別個のものだ。(c)AFP