【2月11日 AFP】経済協力開発機構(OECD)は10日、加盟34か国で15歳になるまでに読解力、数学、科学のいずれかで十分な習熟度に到達できない生徒の数は4500万人で、全体の4分の1余りに相当するとした最新の調査報告を公表した。

 OECDが公表した2012年国際学習到達度調査(PISA)の結果によると、調査に参加した加盟諸国を含む64の国・地域に暮らす15歳の生徒のうち、約1300万人がいずれかの分野で十分な学力を満たしていなかった。一部の国では、学力不足の生徒の割合が半数に上っていた。

 OECDは、学校で成績不振対策を取れば、かかる経費以上の利益がその国に生まれると指摘。また「生徒がこの困難を乗り越える上で役立つのは教育の方針と実践であり、1人当たりの国民所得だけが問題ではない」と述べ、習熟度の低い生徒の多さに関してその国の経済規模は必ずしも主要な要因ではないとの見方を示した。

 その一方で、将来の経済の健全性に対する危険は過小評価してはならないとも警告。15歳の時点で成績が悪い生徒は学校を中退するリスクが高く、人口の大多数が基礎的なスキルを身につけていなければ「長期的な経済成長がひどく損なわれる」と指摘している。

 OECDは、学力向上に向けた第一の提案として、「多角的」方法を用いて成績不振の生徒数の低減を国が優先して行うべきとしている。例えば、成績不振に陥っている生徒に対し、なるべく早い時期に補習支援を行うことが提言されている。

 一方で、保護者の協力がなければ生徒の学力強化にはつながらないとしており、日本での成功例として、「学校運営や、授業中に必要に応じて行う個別指導に対して、保護者や地域社会が一定の責任を担うよう奨励する」学校改革が奏功したことを挙げている。(c)AFP