■企業から個人情報を購入

 民主党は2004年以降、米国の有権者に関する情報を収集している。年齢や住所、過去の投票行動といったデータで、これらは公開されている情報からまとめられたものだ。

 民主党は、各企業が所有する顧客情報をブローカーを通じて購入している。顧客の電子メールアドレスを売る企業もある。

 NGPバンの情報を用いれば、民主党は個人の学歴も把握できる。人種的背景も分かることが多い。そこからデータ分析を進めていく。

 例えば大都市に暮らし、文芸誌を定期購読している30歳女性と、南部の農村地帯に住む兵器愛好家向けの雑誌を定期購読している60歳男性のどちらがクリントン氏に投票する可能性が高いか?恐らく前者のはずだ。

 さらに選挙ボランティアが戸別訪問し、関心を持っているのは気候変動か、失業問題かといった質問を有権者に投げ掛け、データの精度を高めていく。共和党も同様のデータベースを持っている。

■「同意します」をクリックすると…

 いずれのデータ収集企業も、情報は全て合法的に入手したものだと強調している。とはいえ、各政党が個人の私生活をどれほど詳しく把握しているか自覚している米国人は少ない。

「ネット上で『同意する』ボタンをクリックする時、誰も規約など読んでいないが、実はそのボタンをクリックすることで自分の個人情報を売り渡しても良いという許可を与えている」と明かすのは、共和党のデータ管理を請け負っているフィルパック(Filpac)の創業者、ジョー・カラン(Joe Curran)氏。「何もかも公開されている。みんなそのことを知らないだけだ」

 サーマン氏も同様の意見だ。「われわれが持っている情報は、民間企業が持っている米国民に関する情報の足元にも及ばない。企業に比べれば、われわれは弱いよ」

(c)AFP/Léo MOUREN