【2月5日 AFP】フランス国民教育省が今年9月の新学年度から採用する初等教育課程の教科書で、約2000単語のフランス語のつづりが見直され一部の単語からアクセント記号が消えることが分かり、インターネット上で4日、母国語を愛する人々の怒りの声が巻き起こった。

 姿を消すアクセント記号は、母音字「i」と「u」の上に付く小さな山形の記号「アクサン・シルコンフレクス」。国民教育省と出版社によると、多くの単語について発音や意味が変わらないならばアクサン・シルコンフレクスをつけなくても構わないとする新たなルールが、新学年度から導入される。

 また、一部の母音字やハイフンの使用も省略される。タマネギを意味する「oignon」は、今回の変更で「ognon」と表記することが認められるため、フランス語純粋主義者たちがわが目を疑ってタマネギを刻むときのように目をこすることが増えそうだ。「week-end」は英語のつづりと同じ「weekend」が推奨される。

 この新ルールは1990年に、仏国立学術団体でフランス語保護団体として知られる「アカデミー・フランセーズ(Academie Francaise)」が承認したものだ。以来、2種類のつづりが平行して使われてきたが、ここ数年は公文書でも新式つづりが使われるようになってきた。

 フランス語で推奨されるつづりを掲載するウェブサイト「www.orthographe-recommandee.info」によると、この変更は、つづりの誤りや不一致を是正するのが目的だという。アクサン・シルコンフレクスは「つづりの間違いが起きる主な要因の一つで、使用法にも一貫性がない」と同サイトは指摘している。

 しかし、多くのフランス人はそれほど確信がないようだ。フランス語版ツイッター(Twitter)では、「私はアクサン・シルコンフレクスを使い続ける」と宣言する人も登場。昨年1月の風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)襲撃事件で連帯を示すため使われた言葉「わたしはシャルリー(Je Suis Charlie)」をもじったハッシュタグ「#JeSuisCircumflex(わたしはシルコンフレクス)」を付けた怒りの投稿が相次いでいる。(c)AFP/Fran BLANDY