【2月4日 AFP】ルクセンブルク政府は3日、多額の利益を生む可能性が秘められた小惑星での金やプラチナ、タングステンなどの希少金属を採掘する事業計画を発表した。いわゆる「地球近傍天体」での採掘の権利獲得に向けて動き始めた欧州初の国となった。

 同政府は、地球の大気圏の外側にある資源の開発に向けた法的枠組み作成への道筋を発表。また個人投資家や他国の参入を歓迎すると述べた。

 同様の動きをめぐっては、米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領も昨年11月、自社で回収した宇宙資源に対する財産権を米企業に与えることを認める「US Commercial Space Launch Competitiveness Act of 2015(2015年商業宇宙打ち上げ競争力法、通称:宇宙法)」を承認している。

 欧州宇宙機関(ESA)の元トップでルクセンブルク政府の顧問を務めるジャン・ジャック・ドルダン(Jean-Jacques Dordain)氏はAFPに対し、「宇宙開発の準備にあたり、ルクセンブルク政府は法規制の枠組みづくりにも意欲を示している」と語っている。

 将来の宇宙金属市場に大きな期待を寄せる米拠点のディープスペースインダストリーズ(Deep Space Industries)とプラネタリー・リソーシズ(Planetary Resources)は、ルクセンブルク政府の発表を歓迎している。2社については、同国と協力関係を築く可能性がある。

 地球上の資源の大半は、地球の中心近くにあるため採掘が難しく、また地表近くの資源はほぼ取りつくされていると考えられているため、小惑星などに目を向けることは、経済的な意味では妥当といえるだろう。

 火星と木星の間には多くの小惑星が存在しており、これらは惑星と同様に太陽周囲を公転している。米航空宇宙局(NASA)によると、比較的容易に到達できる小惑星は約1500個あるという。

 ただ、主要な産業国が1967年に発効した宇宙条約(Outer Space Treaty)では、地球外の天然資源が人類共通の資産と定められているため、宇宙採掘の私営化が、この規定に反するのではないかと指摘する声も上がっている。(c)AFP/Veronique POUJOL / with Marlowe HOOD in Paris