【2月4日 AFP】インドの製薬会社が3日、世界初のジカ熱ワクチンの開発を進めていると発表した。世界保健機関(WHO)はこの2日前、ジカウイルスの急速な感染拡大に対し、世界的な緊急事態を宣言した。

 この会社は、南部の都市ハイデラバード(Hyderabad)に本拠を置くワクチン製造会社のバラト・バイオテック(Bharat Biotech)。1年間にわたり開発を進めてきた2種類のワクチンは、動物を使って安全性や有効性などを調べる前臨床試験を行う準備が整っているという。

 現在のところ、蚊が媒介するジカウイルスに対する有効性が証明されたワクチンは存在しない。中南米では、同ウイルスが全域に拡大しており、脳に障害のある新生児急増の原因とされている。

 バラト・バイオテックの法務・知財部門を統括するラジャルシ・ダスグプタ(Rajarshi Dasgupta)氏は、AFPの取材に「わが社は世界で初めて、ジカウイルスワクチンの国際特許を申請した」と述べ、申請したのは1年前だと付け加えた。

 WHOは、頭部が異常に小さい新生児が生まれる「小頭症」の多発とジカ熱との関連が「強く疑われる」として、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。

 インド医学研究評議会(Indian Council for Medical Research)のソーミャ・スワミネイサン(Soumya Swaminathan)会長によると、同評議会はバラト・バイオテックに対し、ワクチンに関する科学的な詳細情報を提供するよう要請したという。

 スワミネイサン氏は、AFPの取材に「ワクチン開発を進める手助けができるかどうかを確かめるために、同社に連絡して詳細に関する説明を依頼した」と語った。

 匿名を希望し取材に応じたバラト・バイオテックの上級研究員は、世界規模の感染拡大を受けて、研究開発プロセスを迅速化していると述べたが、臨床試験や発売時期などについての具体的な計画は明らかにしなかった。

 バラト・バイオテックによる発表の前日には、仏製薬大手サノフィ(Sanofi)のワクチン部門サノフィ・パスツール(Sanofi Pasteur)が、ジカウイルスに対するワクチンの研究開発に着手すると発表していた。

 インドではこれまでにジカ熱への感染者は報告されていないが、タイとインドネシアでそれぞれ1人の感染が報告されている。また米国の保健当局は、テキサス(Texas)州で性感染によるジカウイルス感染が確認されたと発表した。(c)AFP