【2月2日 AFP】(写真追加)大人の人間の脳を、しわしわのクルミの実のような外見にしている深いひだ構造は、大型で強力な処理装置を小さな頭蓋骨の中に収めるための自然の解決策だった。

 平らな四角の紙切れを、小さな丸い穴に入れるためにしわくちゃに丸めるように、脳にひだを形成することで、神経細胞をより密集させ、細胞間の接合部を短くして、情報伝達を高速化することが可能になる。

 大脳皮質や灰白質と呼ばれる脳の外層にひだが存在する理由は以前から判明していた一方、その仕組みは謎のままだった。

 脳のひだは、遺伝信号、生体信号、化学信号などの結果として発生するのか。もしくは、物理的な力によって生じるものなのだろうか。

 米国と欧州の研究チームは1日、ひだの形成が物理現象で説明できるとする研究結果を発表した。特定の脳疾患を解明するための重要な示唆をもたらす可能性のある発見だという。

 大脳皮質のひだは、胎児の脳が成長するにつれて、複数の弱い箇所にゆがみが生じることによって発生すると、研究チームは説明している。

 人間の胎児の脳は、最初はひだがなく滑らかな状態で、受精後20週頃からひだの形成が始まり、子どもが月齢約18か月になるまで続く。

 研究論文の共同執筆者で、米ハーバード大学(Harvard University)のラクシュミナラヤナン・マハデバン(Lakshminarayanan Mahadevan)氏はAFPの取材に、ひだ構造を成す大脳皮質の表面積は、人間の頭と同じ大きさの、ひだのない脳の表面積の3倍近くに及ぶと語った。

 マハデバン氏は、電子メールで「大脳皮質として知られる灰白質は、下部の白質に比べて、脳の成長期に神経細胞の数、大きさ、形状、位置が全て相まって急激な膨張を起こす」と説明する。