【2月2日 AFP】2020年東京五輪のエンブレムが自身の作品に酷似しているとして、国際オリンピック委員会(IOC)を相手取って訴えを起こしていたベルギー人デザイナーのオリビエ・ドビ(Olivier Debie)氏が、これを取り下げる意向を示している。1日、同氏の弁護士が明かした。

 フィリップ・モタール(Philippe Mottard)弁護士は、AFPに対し「ドビ氏は、国際世論の舞台で勝訴したことを確信している」と述べ、IOCがエンブレムの使用を中止したことから、これから何かができるわけでもなく、「さらなる費用を発生させたくないと考えた」と説明している。

 ドビ氏は昨年8月、佐野研二郎(Kenjiro Sano)氏がデザインした東京五輪の旧エンブレムについて、自身がベルギーの劇場のために作ったロゴを盗用したものではないかと主張し、訴状を提出した。

 五輪組織委はその後、批判を浴びていた大会エンブレムを使用中止にすると発表したが、訴えを起こされたことがその理由ではないとしていた。

 ドビ氏は問題のエンブレムが発表された当時、AFPに対し「酷似している」とコメントし、「2020年東京五輪のロゴを見たとき、これは私が2011年に作ったものだと思った」と表現していた。

 東京五輪の旧エンブレムについては、東京、チーム、トゥモローを意味する「T」の字をベースとし、赤い円が心臓の鼓動をあらわしたものとなっていると説明されていた。

 一方、ドビ氏がデザインしたリエージュ劇場(Liege Theatre)のロゴは、黒地に白で東京五輪の旧エンブレムに似た形となっているが、赤い円は描かれていない。(c)AFP