【1月31日 AFP】ボクシング、WBA・IBF・WBO世界ライトヘビー級タイトルマッチ12回戦が30日、カナダ・モントリオール(Montreal)のベル・センター(Bell Centre)で行われ、王者セルゲイ・コバレフ(Sergey Kovalev、ロシア)が7回TKOで挑戦者のジャン・パスカル(Jean Pascal、カナダ)との再戦を制し、タイトルを防衛した。

 32歳のコバレフは優れたステップで相手の退路を断つと思いのままに左のジャブを打ち込むなど、各ラウンドでパスカルを圧倒。これを受けパスカルのトレーナーのフレディ・ローチ(Freddie Roach)氏が、8回開始を前に棄権を申し出た。

 パスカルは、年間最優秀トレーナーに6度選出されているローチ氏と組んで初めての試合に臨んだが、結果は昨年3月にコバレフが8回TKOで勝利した試合とほぼ同様のものとなった。

 コバレフは戦績を29勝(26KO)0敗1分けとし、3団体のタイトルを防衛している。

 再戦を前に黒人のパスカルがコバレフを人種差別主義者と非難すると、コバレフもパスカルの品性に疑問を投げかけるなど、両者は恨みを重ねていた。

 試合直後、コバレフは9866人の観客を前に「あいつは誰にも敬意を示さない。俺も尊敬しないし、今後も絶対そうはしないだろう。もっとラウンドを重ねて、痛めつけてやりたかった。苦痛を与えたかった」とコメントした。

 コバレフは1回、左ジャブでパスカルを倒したものの、レフェリーはこれをスリップと判断。しかし、ノックダウンであろうとなかろうと、このシーンは試合の行く末を示すものだった。

 3回までにコバレフの左右のパンチを受けたパスカルにとって、残された道は大きく振りかぶったKOを狙うパンチだけとなった。フットワークが尽き、よろめくような様子を見せたパスカルは、コバレフの鋭いコンビネーションをかわそうとしたものの、無駄に終わった。

 ローチ氏は5回と6回の終わりにパスカルに対して試合を止めると通告したが、パスカルはこれを拒否。7回開始前にはローチ氏がレフェリーに対し、パスカルを注視するよう要請した。

 7回を終えるとローチ氏は、椅子に座りうつろな目をしたパスカルに対して「おまえの夜じゃない」と告げた。

 前回の試合ではユニエスキ・ゴンサレス(Yunieski Gonzalez、キューバ)を相手に苦しみながらも10回判定勝ちを収めていたパスカルは、戦績を30勝(17KO)4敗1分けとした。

 2013年に手にした王座を守り続けているコバレフは、次戦で元スーパーミドル級王者のアンドレ・ウォード(Andre Ward、米国)かWBCライトヘビー級王者のアドニス・スティーブンソン(Adonis Stevenson、カナダ)との一戦を計画している。

 コバレフはまた、リング上で「アドニス・チキン(弱虫)野郎とやりたいね」と、リングサイドで観戦していたスティーブンソンを学生のようにからかった。

 スティーブンソンはすでにロープを乗り越えてリングに上がっており、コバレフに怒りをぶつけたが、近づくことはなかった。スティーブンソンに対しコバレフは中指を立てたが、そのまま取り巻きに押し出され、リングを後にした。(c)AFP