【1月31日 AFP】国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」によると、シリア政府軍に包囲されている町マダヤ(Madaya)に救援物資が到着した今月11日以降、新たに16人が餓死した。

 MSFは、昨年12月以降のマダヤにおける餓死者が46人に達したと述べた。また「MSFは人々が自宅で餓死していることを把握しており、実際の餓死者数は発表した人数より多いのはほぼ確実だ」と述べ、マダヤでは現在も数十人が深刻な栄養失調による餓死の危険性に瀕していると警告した。

 最新の餓死者数が明らかにされたのとほぼ時を同じくして、シリア・アラブ赤新月社(Syrian Arab Red Crescent)は包囲されているマダヤと他2つの町を30日に訪れ、どのような人道支援が必要か調査したとAFPに述べた。

 同国ダマスカス(Damascus)県に位置するマダヤは、現在政府軍に包囲されており、当初の予定より遅れて今月29日にスイス・ジュネーブ(Geneva)で開始された和平協議の争点の一つにもなっている。

 シリア反体制派は、和平協議の前に包囲の終了を要求する国連安全保障理事会(UN Security Council)の決議の履行が必要だとしている。

 マダヤは昨年、戦闘を停止して救援物資搬入を許可された4つの町の1つ。しかし、国連やその他の救援団体は、マダヤと反体制派が掌握する町ザバダニ(Zabadani)、そして政府軍が掌握し、反体制派が包囲する町フア(Fuaa)とケフラヤ(Kafraya)に限定的なアクセスしか得られなかった。

 中でも、シリア政府軍が町の周囲に地雷を敷設し、4万2000人の一般市民が町から出られなくなっているマダヤの状況は特に悪いと報告されている。反体制派が包囲するフアとケフラヤでは政府軍機による救援物資投下が可能だが、反体制派にはそのような能力がない。

 各救援団体は、包囲されている4つの町への定期的な救援物資搬入と、栄養失調やその他の病気で苦しむ人々の救出を許可するよう求めている。(c)AFP/Sara Hussein