【2月1日 AFP】2016年の米大統領選は、放送できないような下品な言葉のお祭りと化している──。

 ランド・ポール(Rand Paul)上院議員がわいせつな言葉を使ったかと思えば、元フロリダ(Florida)州知事のジェブ・ブッシュ(Jeb Bush)氏は放送禁止用語を試す。温厚な元神経外科医ベン・カーソン(Ben Carson)氏でさえも、共和党のライバル候補者らが参加した全国放送のテレビ討論会で、政府の補助金を汚い言葉でこき下ろした。

 しかし、下品な言葉の王様は、やっぱり共和党指名争いで先頭を走る富豪のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏だ。同氏が放つ言葉は、米国の政治をかつてないほど低いレベルにまで押し下げた。

 元々は主力候補ではなかったトランプ氏だが、その存在感はしっかりとアピールできており、また同氏のアピールを通じて、下品な言葉の使用や、ライバル候補へのあからさまな個人攻撃も、選挙キャンペーンにおける「語彙」の一部であるとの認識が広まった感があるのは否めない。

 事実、ランド・ポール上院議員は昨年11月、大規模な政府の監視を擁護する人たちに対し、「たわごとを誇張している」とあえてののしり言葉をつかって非難しており、また冷静な政治家とみられているブッシュ氏もニューハンプシャー(New Hampshire)州で、「私たちは米国人だ。くそったれ!」と、どこか不必要に声を荒げた。

 しかし、こうした下品な表現も、トランプ氏の痛烈な個人攻撃に比べると色あせてしまう。

 トランプ氏のツイッター(Twitter)は、果てしない「侮辱作成機」と化している。同氏は最近、保守強硬派の評論家グレン・ベック(Glenn Beck)氏を「とてつもない間抜け」と呼び、また他の人たちに対しても「役立たず」や「能無し」「ばか」と言い放っている。

 26日には、共和党の最大のライバルであるテッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員を「まぬけ面」な「嘘つき」と攻撃している。