【1月29日 AFP】より多くの赤ちゃんにより長期間にわたり母乳を与え、賢く高収入の子どもを育てることで、世界で年間約3000億ドル(約36兆円)の経済損失を防げるとの研究論文が29日、英医学誌ランセット(Lancet)に発表された。

 論文はまた、年間80万人以上の子どもと約2万人の乳がん患者の死を回避できるとしている。

 論文執筆者の一人、ブラジル・ペロタス連邦大学(Federal University of Pelotas)のセザール・ビクトリア(Cesar Victora)氏は、「母乳は、富裕国も貧困国も同様に、あらゆる国で命とお金を救う」と述べている。

 研究結果は、健康面と経済面で実証された母乳の効果に対する科学的検証とメタ分析28件の結果を基にしたもの。

 論文は、母乳は平均寿命を「劇的」な向上に導くと結論づけている。

 高所得国では、幼児の突然死のリスクを3分の1以上低下させ、中低所得国では、下痢症状の約半数と呼吸器感染症の3分の1以上を減らせるという。

 合計すると、毎年約80万人の子どもの命を救えることになる。

 声明では、「知能も増す」とされており、研究で実施されたモデリングでは、母乳を与えないことが原因の認知力の低下による2012年の世界経済の推計損失額は、3020億ドル(約36兆円)に達したという。(c)AFP/Mariëtte Le Roux